近くて遠い未来、アフターコロナ時代の夫婦をリアルに描いた短編です。
■あらすじ■
主人公ココロの高校時代はCOVID-19のさなかで、マスクとともに過ごした。
その時に出会った同級生が、今は夫に。
制限された高校時代のうっぷんが今も晴らせないままのココロは、息子の結婚により、離婚を決意し、夫に伝えると……。
未来が舞台ですが、まず登場人物の描写が外見、服装、言動と「わかる～こういう人いる、もしくは私……」と、身近に感じられてリアルです。
特に女性の描写がもう……絶対、実在してる人……!!
そのため、
「この夫婦はどうなるの……!?」
と、ドキドキしながら読むことができました。面白かったです!!
脳内で実写ドラマでの再生が余裕でした。わたしの脳内でのココロは松雪泰子です。
息子からはいい夫婦と思われているものの、母であり、妻であるココロは、夫に不満があった……。
人と人のことって、外からは分からないものです。
その人たちにしかないストーリーがあります。
芸能人も「おしどり夫婦のあの二人が離婚……!?」というのがたまにありますもんね。
また、未来のご家庭で使用されているガジェットも現実味があります。
スマートスピーカーがさらに進化したら、こうなっていても違和感がない……。
あたかも未来をのぞき見して書いたかのようで、将来こういうガジェットや、こういうご夫婦が出てきそう……と思いました。
将来、予言の書になりそうです。いや、予言の書になります!!
こういうご夫婦出てくると思います……!!
何年か越しの、コロナクライシス。
編集を担当させていただいて、人間の描写のリアルさが、葉々さんの強みだと思いました。
また、高校時代の描写が、審査員の先生から絶賛でした。
詳しくはNovelJamのYoutubeの講評を見ていただくとして
「高校時代の描写が面白かった」
「あのシーンだけで書き上げてもよかった」
というくらいです。
私もその描写はリアルだなと思っていました。
特にマスク越しのお互いの距離のはかり方や友人とのやり取りが、「見てきたかのような」描写で駆け引きと緊張をはらんだ空気が伝わってきて秀逸です。
本のデザインも、荒く塗りつぶされた口元が、ココロのやるせない気持ちを表していて、内容にぴったりで素敵でした。
アフターコロナの時代の、リアルな夫婦のドラマに興味がある方、地続きのSFの世界感を楽しみたい人におすすめです!!
